株式会社の役員の任期を伸ばしたいのですが、どのような点に気をつければよいですか?

株式会社の役員(取締役・監査役)の任期を伸ばすには定款の変更の手続きが必要となります。

会社法では株式会社の役員の任期は、取締役は原則2年、監査役は原則4年ですが、株式譲渡制限の規定を設けている会社は役員の任期を10年まで伸長することができます。

会社の任期を原則以上に伸ばすには、定款に、

(株式の譲渡制限)
第○○条 当会社の発行する株式を譲渡によって取得するには、会社(取締役、株主総会)の承認を要する。

という規定が必要になります。
この規定がないと、原則以上の任期の伸長はできません。
もし、この規定がなければ株主総会にて株式譲渡制限の規定を設定する定款の変更の決議をし、その上で株主総会にて下記のように役員の任期の伸長に関する定款変更の決議をしてください。任期は10年以下でしたら5年でも7年でもかまいません。

(取締役の任期)
第○○条 取締役の任期は、選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。
2 任期満了前に退任した取締役の補欠として、又は増員により選任された取締役の任期は、前任者又は他の在任取締役の任期の残存期間と同一とする。

(監査役の任期)
第○○条 監査役の任期は、選任後10年内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。
2 任期満了前に退任した監査役の補欠として選任された監査役の任期は、前任者の任期の残存期間と同一とする。

役員の登記は、前任者が引き続き再任されても任期ごとに再任の登記をする必要があります。

家族、親族による同族会社で役員の改任があまり発生しない場合は、任期が短いとその登記の手間、登録免許税などのコストがかかりますが、任期を伸長すればそのコスト等の削減をはかれるメリットがあります。

デメリットとしては、役員の任期を長く設定してしまうと任期途中で辞めてもらいたいときや、解任決議をした場合に、任期までの役員報酬相当分の金員を損害賠償として請求されることも予想され、会社経営に支障を及ぼすことが予想されます。

 

また、登記の面からいうと、任期を10年のような期間を設けてしまうと、任期がいつであるかを忘れて役員変更の登記を失念してしまいがちです。役員変更の登記を怠ると100万円以下の過料を課されたり、12年間なんの登記もせずに経過してしまうと株式会社が解散されたものとみなされてしまうおそれがありますので、ご注意ください。

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